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イギリスのホメオパシー

ホメオパシーが伝わって150年以上。本場イギリスでは、どんな風にホメオパシーが根づいているのでしょうか?ロンド ン在住のホメオパス、望月朝子さんの現地レポートを連載します。


望月朝子(もちづき あさこ)

英国ソサエティ・オブ・ホメオパス認定ホメオパス。証券会社で株式マーケ ターそして株式トレーダーとして活躍するなかでホメオパシーに出会い、一 念発起して本場イギリスへ。ハーネマンアカデミー英国校、スクールオブホメオパシーで本 格的に学び、現在はロンドンを中心にホメオパスとして活躍中。趣味は英国スタイルブラス バンド、仲間と音楽演奏を楽しむ。






第1回 ホメオパシーで育った人々

今回はロンドン在住のイギリス人アレクサンドラさんと、ベルギー人ステファンさんにインタビュー。ホメオパシーを愛好 するご家族のもとで、ホメオパシーとともに育ったお二人に、お話を伺いました。


* * *

「イギリスにおけるホメオパシーについて書きませんか?」と依頼をいただいたとき、「是非!」と返事をしたものの、正 直なところ一体イギリスにおけるホメオパシーってどんな風に根付いているんだろう、と自問自答せざるをえませんでした 。なぜなら、私の環境は両極端だったのです。私の所属するイギリス人ソサエティは2つあるのですが、ひとつはもちろん 、ホメオパシーを一緒に学んできた仲間、そして先生たち。もうひとつは、音楽を一緒に演奏する仲間です。音楽仲間は、 様々な職業人から構成されていて、過去のメンバーも含めれば約50人のうちほぼ全員、ホメオパシーのことについては、 なんとなく知っています。でも、残念ながらホメオパシーを積極的に取り入れている人はいませんでした。このように、私 は2つの全く違ったグループ-ホメオパシーにどっぷり浸かっている人々VSホメオパシーは全然使ったこともない人々- の中で、生活しています。今回初めて、この機会を得て、実際のところ、ホメオパシーはどんな風に人々に使われているの だろう、ということを考えました。周りを見渡してみると、ブーツというチェーン展開しているドラッグストアがホメオパ シーを扱っているだけでなく、オーガニックショップはもちろん、コープがやっている普通の薬局のカウンターにもホメオ パシーは並んでいます。高級住宅街やセントラルロンドンではない、低所得者層の人々が住む地域でもあたりまえのように レメディは並んでいます。お店の人に尋ねてみたところ、毎日本当にたくさんの人たちがレメディを買いに来るようです。 風邪や花粉症、頭痛といった症状の改善のために。とはいえ、実際私の身近ではどんな風に使われているのだろう、どんな 人がホメオパシーを使っているのだろう、どうしてその人たちはホメオパシーを選択しているんだろう。かなり原点にさか のぼる必要のある質問でした。そこでまず最初に思いついたのが、一緒に肩を並べて 勉強したアレクサンドラへのインタビューでした。


彼女がホメオパシーで育ってきたことは、彼女に出会ってすぐに私の耳に入ってきました。クラスメートが15人いる中で も、ホメオパシーで育ったというのは彼女くらい。他の友達は、長年ホメオパシーを使っていたり、ホメオパスから治療を 受けていたとしても、ホメオパシーとともに育ってきてはいませんでした。加えて、彼女は予防接種すら受けたことがない のです。現代医学の薬を取ったのは、親知らずを抜く時に赤ちゃん用の麻酔薬を使ったのみ。彼女の30年近い人生のうち 、この経験が1度だけで、それ以外に薬を飲んだことは全くない。さすがに、これは希少価値。彼女にどんな子供時 代だったのか、聞いてみました。

   学校でアレクサンドラと一緒に







おばあちゃんから母、母から私へ、受け継がれるホメオパシー

A)初めてホメオパスに会ったのは、19歳のとき。それまでは、母が急性のときにレメディをくれていたかな。怪我や打 撲にアルニカとか。成長とともに、よく喉を痛めていたので、そのたびに母はレメディをくれていたの。でも、たいてい、 風邪などで調子が悪いときには、蜂蜜とレモンをお湯で割ったものを飲むくらい。よくおじいさんは、塩水でうがいをして おきなさいって言っていたわ。現代医学の薬を飲んだことは一度もなかった。母は家に現代医学の薬を置いておくことすら 嫌がったしね。まだ父が若かった頃は、鎮痛剤をたまに飲んでいて、母はとっても嫌がっていた。でも仕事をしていた父は 薬を取らざるをえなくて、鎮痛剤は別々にしまってあったのを覚えているわ。今ではその父も薬は飲んでいないと思う。

M)どんな風にお母さんはホメオパシーを使い始めたの?

A)そもそも、おばあさんが占星術師だったのだけれど、ティッシュソルト使っていて、それを人々に教えているうちに、 ホメオパシーに出会ったのが始まり。1970年代のことなんだけれど。おばあさんはホメオパシーが本当にすばらしいも のだって思ったのね。その意志を母の姉が受け継いでホメオパスになり、母もその姉に習って自分で使うようになったの。 今から30年前のことになるよね。うちには、ネルソン社から出ているホメオパシーのキットがあって、それをいつも母が 私の兄と私にくれていたのよ。当時はレメディを買うのは本当に大変だったみたいだから。


アレクサンドラは、私に薄緑色の20センチ大のレメディボックスを見せてくれました。箱の内側には、28種類のレメデ ィの特徴がそれぞれ1行ずつ記されているのに加えて、もう少し詳しく説明されているブックレットが入っていました。ポ ーテンシーは6x。子供の口に溶け易いように、大きなソフトタブレットのレメディが28本。すっかりセピア色になった ブックレットが彼女の成長とともに常にあったんだなぁ、と実感させてくれました。


お母さんから受け継いだレメディーボックス










予防接種は受けなかった

M)予防接種を受けてないっていうけれど、学校では大変ではなかった?

A)母はいつも学校に手紙を書いていたよ。もちろん、学校は予防接種を受けるように相当奨めてきたよね。当時、予防接 種を受けていないなんて、本当に私一人だけ。一度も他に予防接種を受けてないっていう人に出会ったことはなかったし。 でも、私、針が大嫌いだから、逆にほっとしてたかな。破傷風の注射も受けてないから、本能的に動物には近づかないよう にしている。特に親から教えられたわけじゃないんだけれど、本能的にかな。注射をして予防をするのではなくて、別の方 法で予防しているみたい。もちろん、動物園で動物を見るのは好きなのよ。でも近づこうとは思わない。兄も一 緒だと思う。


M)予防注射や現代医学の薬を誰かに奨められたりとかしたことはないの?海外旅行のための予防接種とか。

A)タイに行ったときも、4ヶ月滞在したんだけれど、予防接種を受けようとか、マラリアのタブレットを持っていこうと かいうことは、全く頭になかった。よぎりもしなかった。たぶん、病気になってもすぐに回復するからかな。病 気になるとも思ってないし。

M)へぇ、病気になるんじゃないかっていう怖さはないんだ。

A)全く。考えたこともない。頭痛があっても、次の日には回復しているし、今まで一度も学校を休んだこともないよ。1 8歳で親知らずを抜いたときも、赤ちゃん用の強さの麻酔薬だったにもかかわらず、あっという間に完全に麻痺してしまっ たので、お医者さんがびっくりしたのね。その後母がアルニカをくれて、その日の午後にはもう食べ物を食べていたくらい 。普通の人は24時間食べ物は食べられませんっていうらしいんだけれど。とにかく、すぐに回復するの。だから、全く病 気になるって心配したことがない。風邪をひいても、リラックスしてストレスを取り除くのが一番効果があるしね。それ以 外に特に何もしないよ。

兄も私も痛みに対して強いみたいなのね。前に一度、歯茎が感染したことがあるんだけれど、歯医者に行ったら、どうして こんな痛みに耐えられるのかって医者がびっくりしたくらいの状態だったの。普通ならのた打ち回る痛みだろうって。もち ろん痛いんだけれど、その痛みとともに行こうみたいな。痛み自体を受け入れているっていうのかな。

M)確かに、痛みと対話するってとても大事なことだよね。


玄米とたくさんの野菜を食べて育った

M)本当に、心も体も逞しく、健やかなんだね。ところで、どんな子供の頃は、どんな食生活だったの?

A)とにかく覚えているのは、たくさんの野菜、特にブロッコリーと玄米。それにツナ缶と、豆。お肉は決して食べなかっ たね。朝食も水で溶いたポリッジ(*1)。決してミルクでは溶かないの。乳製品はチーズは食べたけれど、ミルクは家に は置いてなかった。週に1回、トーストを食べたかもしれないけれど、大ご馳走って感じ!家族はみんな甘党だけれど、お 菓子が食べられるのは日曜日だけ。でも日曜日には、1時にランチを食べて、5時にデザート。チェリーパイにアイスクリ ームといった組み合わせ。それはもうほとんどディナーみたいな感じ。ただ、それ以外に甘いものは一切家には置いてなか ったよね。友達を呼ぶのがちょっと戸惑うくらい。だって、おやつも玄米だったからね!とにかく、玄米が私の全ての食べ 物に関する記憶っていうくらい!だから、友達のところに行くと、母にはどんなお菓子を食べたかってことばかり話してい て、何をして遊んだかなんて全く感心なかったわ(笑)。そうそう、食べる時間も絶対遅い時間には食べなかったよ。


ホメオパシーを勉強して、現代医学に対する考え方が変わった

M)とっても健康的だね。ところで、ホメオパシーとともに育ってきたことってどんな風に影響がある?

A)心底前向きに捉えているよ。だからこそ、私はホメオパシーを勉強したわけだし、今ホメオパスでもある。全てが本能 に基づいているっていうのかな。ホメオパシーの血が自分の中には流れているとさえ思う。だって、ほかの事は全く知らな かったわけだから。私はほとんどのホメオパスたちみたいに、ホメオパシーに人生を助けられたっていう経験から勉強を始 めたわけではなく、現代医学に失望したわけでもなく、全て私が知っていたのは、ホメオパシーだったわけだから始めたの 。逆に、ホメオパシーを勉強したことで、現代医学に対する考え方が変わったのよ。5年前、10年前の私は、全てがホメ オパシーで、咳止めとか、レムシップ(*2)を飲んでいる人が信じられなかった。分からなかった。なんで彼らがそれを 取るのかが。ホメオパシー勉強しながら、そういう薬を取っている人のことが信じられなかった。ホメオパシーのことを本 当には信じてないのかなって。でも、4年間の勉強を通じて、今は目が見開かれたっていうか。現代医学が必要な場所もあ れば、ホメオパシーが必要な場所もあるっていうのかな。


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インタビューを終えて、彼女のびっくりする程強いバイタルフォースは、彼女の心の健やかさにあるのだなと実感しました 。いつも彼女の行動には迷いがなく、自分への信頼がとても厚いのです。ホメオパシーだけで育ってくるには、ご家族の様 々な困難もあったのではと想像していたのですが、そのような不安や心配は微塵も感じられませんでした。どうやら一番の 秘訣は、ホメオパシーに対する揺らぐことのない信頼感、その土壌を作られたご家族の安定感や環境作りが彼女の強さをま すます輝かせることになったのだなと思います。既に時間は夕方6時近く。彼女のフラットを後にして、夕暮れの町並みを チューブの駅に向かいながら、彼女の揺らぎない、そして澄み切った心が、私の中に心地よく響いている、そんな気分で 家路についたのでした。


外部サイト・雑誌への寄稿



2008年より日本ホメオパシー振興会 ホメオパシー資料館のページに掲載されています。

http://nihon-homeopathy.net/archives/english_01.htm




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